最近、日本でも移民や難民の問題が発生し、様々な議論が巻き起こっています。
それを調べていくと、国際機関や大規模財団の計画と、日本で起きていることが連動しているように見えます。そこには、日本政府が国際機関や大規模財団の計画に同意しているかの印象も抱きます。個別の問題、クルド人問題、イスラム教徒による土葬墓地問題、中国人による土地取得問題、不法移民による犯罪、がその一つの現象のようにも見えます。
みんなで全体の構図を理解して、個別の問題に対処できたら良いと思っています。
この文章は、論文形式で執筆した文章が読みにくいということで、わかりやすく書き直したものです。
― GCMと大規模財団資金から見える「人の移動」のガバナンス
はじめに:いま「人の移動」が世界のテーマに
ここ数年、「気候変動」や「感染症」に続いて、“人の移動”――つまり移民や難民の問題が、国際社会の大きな関心事になっています。
その背景には、戦争や貧困だけでなく、気候変動による住環境の変化や、労働力不足のグローバル化など、さまざまな要因が絡んでいます。
一方で、国連や民間の大規模財団が、こうした人の移動を「どう支え、どう管理するか」という仕組みを整えつつあります。
それが「移民・難民政策のグローバル・ガバナンス化」と呼ばれる動きです。
本稿では、この動きをわかりやすく整理してみましょう。
第1章 GCMとは何か――国連が進める新しい枠組み
2018年、国連は「安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクト(GCM)」という国際的な合意を採択しました。
これは、世界で初めて「人の移動」を包括的に扱う多国間の枠組みです。
GCMの目的は、移民や難民をより安全で、秩序ある形で移動できるようにすること。
例えば、
- 移民の人権を守る
- 違法な人身取引を防ぐ
- 技術や教育の機会を広げる
- 移民データを整備して、政策を改善する
といった23の目標が定められています。
GCM自体は法的な拘束力を持たない「協力のための枠組み」ですが、国連や各国政府、民間団体、そして移民本人までを含む新しい形の“共同統治”の仕組みとして注目されています。
この構想の中では、国家が単独で移民政策を決めるのではなく、国際的なルールやデータを共有しながら動いていくことが前提になります。
そのため、「国家主権と国際協調のバランス」は今も議論の中心です。
第2章 民間資金が動き出す――財団の新しい関心
こうした国際的な制度づくりの裏では、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などの大規模な民間財団が、移民・難民支援の分野に資金を投入し始めています。
ゲイツ財団といえば、これまで感染症対策やワクチン、教育分野への支援で知られてきました。
ところが近年は、移民や難民を支える保健・教育プロジェクトにも積極的に関わっています。
たとえば、アフガニスタン南部では、国際移住機関(IOM)を通じて、移民を含む地域住民の医療アクセスを改善する事業を支援しています。
OECD(経済協力開発機構)のデータによれば、2023年にゲイツ財団が多国間の開発システムに提供した資金は16億ドルに達し、その一部が移民・難民分野にも流れています。
つまり、民間資金が「気候」「保健」から「人の移動」へと流れ始めているのです。
この流れは、単に慈善活動の対象が広がったという話ではありません。
移民・難民政策の現場に、資金・データ・技術が結びつくことで、政策形成に民間セクターが深く関わるようになってきている、という点が重要です。
第3章 お金・データ・制度の三つの層がつながる
いま世界の移民政策を動かしているのは、次の三つのレイヤー(層)です。
- 制度の層(国連や各国の枠組み)
GCMや地域ごとの合意など、国境を越えたルールづくりが進んでいます。 - 資金の層(財団や国際機関)
民間財団や国際金融機関が、支援や投資の形で政策に影響を与えています。 - データの層(デジタル技術・監視・ID)
移民の動きや健康状態、スキルなどを把握するためのデータ基盤が整備されています。
これら三つの層が互いに支え合うことで、「移民をデータとして把握し、資金で支援し、制度で調整する」という流れができつつあります。
この構造を著者は「グローバル・ガバナンスの新しい重力圏」と呼んでいます。
第4章 国家の枠を越える統治モデル
こうした動きが進むと、国が単独で移民政策を決めることが難しくなります。
なぜなら、データや資金が国境を越えて共有されるため、移民の受け入れ・派遣・保護といった課題が国際的な交渉の一部になるからです。
GCMの報告書では、「移民データの整備と共有」が今後の重点課題とされています。
すでに国際機関や民間企業が協力して、デジタルIDや健康記録などを統合する試みが始まっています。
これは一方で、移民支援を効率化する手段にもなりますが、同時に監視や管理の強化につながる懸念もあります。
国家の主権と個人の自由の間で、どこまで情報を共有すべきか――この問いが今、国際社会で問われています。
第5章 これからの課題と問い
本稿が指摘するのは、「陰謀」ではなく、「制度・資金・技術の同期」がもたらす構造的変化です。
つまり、善意や支援の名の下に、人の移動を国際的に“最適化”しようとする仕組みが少しずつ形を持ちはじめている、ということです。
これからの課題として、次の点が挙げられます。
- 各国の移民政策がどの程度GCMや国際資金と連動しているのか。
- 財団や企業が構築するデータ・ID基盤が、どのように使われているのか。
- 移民や難民本人が、こうした制度をどのように感じているのか。
- 国家主権や民主主義との関係は、今後どう変わっていくのか。
移民・難民というテーマは、単なる「人道問題」ではなく、21世紀の統治のあり方そのものを映す鏡になりつつあります。
この流れをどう理解し、どう関わっていくかが、次の時代を考えるうえでの鍵になるでしょう。
参考:出典(一般読者向け整理)
- 国連「安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクト(GCM)」
- 国際移住機関(IOM)・ゲイツ財団の支援報告
- OECD「開発協力データ2023」
- Mixed Migration Centre「GCM6年後の評価」
- 英国議会資料「GCMに関する説明」
「移民・難民をどう支えるか」は、今後の世界がどんな形でまとまっていくのか――その縮図でもあります。
私たち一人ひとりが、この「人の移動をめぐる新しいルールづくり」にどう関わるかが、問われています。
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