2030年を生き抜くために ― 第4回
アナログとデジタルの二刀流
こんにちは。モノづくり塾ZIKUUの塾長、椿です。
前回は「テクノロジーの可能性」について考えました。
今回は、ZIKUUがとても大事にしている考え方――アナログとデジタルの二刀流 についてお話しします。
二刀流の意味
「二刀流」と聞くと、野球の大谷翔平選手を思い浮かべる人も多いでしょう。
彼が投打の両方で活躍できるように、私たちも アナログ(手仕事)とデジタル(テクノロジー) の両方を使いこなせることが、これからの時代を生き抜く力になります。
アナログの強み
アナログの世界には、数字やデータでは測れない強みがあります。
- 木の手触りや音色の微妙な違いを感じ取る感覚
- 金属を叩いたときに伝わる「手応え」
- 試行錯誤を繰り返す中で得られる勘と経験
こうした身体を通じた学びは、AIやロボットでは代替できません。
デジタルの強み
一方でデジタルは、スピードと精度に優れています。
- CADで正確に設計する
- CNCでミリ単位の加工を繰り返し実行する
- AIで膨大な情報を瞬時に整理する
「時間をかけても得られなかった答え」に素早く到達できるのがデジタルの魅力です。
二刀流の実践例
ZIKUUでは、さまざまな場面で二刀流を実践しています。
- 楽器づくり
木を選び、削り、音を聴きながら形にするのは手仕事。
一方で、デザイン検証はAIやデジタルツールが担う。 - 家具や建築模型
木材の接合や組み立ては手作業で進める。
しかし、設計図の作成はCADで。 - 天体観測
夜空を見上げる感覚はアナログそのもの。
そのデータを積み重ね、画像をクリアにしていくのはデジタルの力。 - 金属加工
バーナーで熱を加え、叩き、曲げるのは職人の感覚。
そこにレーザー彫刻するのがデジタル。 - 教育の現場
生徒同士で議論し、手を動かしながら学ぶのはアナログな体験。
その一方で、AIが学習記録を分析し、それぞれに合った課題を提示するのはデジタルの力。
なぜ二刀流が必要なのか
2030年問題が突きつけるのは、単なる人口減少だけではありません。
「一つのスキルだけでは対応できない時代が来る」ということです。
- 手だけでもダメ、頭だけでもダメ
- デジタルだけでもダメ、アナログだけでもダメ
両方を身につけることで、課題に応じて最適な方法を選び取れる人材になるのです。
次回予告
次回は連載の最終回。テーマは 「未来は自分でつくる」。
2030年問題を不安ではなく挑戦として受け止め、どう歩んでいくかを一緒に考えていきます。
「あなたなら、アナログとデジタルをどう組み合わせてみたいですか?」