エンジニア用ワークステーションを考える

モノづくり塾では、プログラム開発、3D CAD、電波天文学、木材や金属などの加工、3Dプリンティング、電子工作など、多様なエンジニアリングタスクを行います。以前にも書きましたが、今後、必要とされる生きる技能を習得するには、これくらいの多様な技能を持つことを推奨します。

そんなモノづくり塾での活動を前提に、自分ならこんなワークステーションを作るというのを書いてみます。

ざっと基本スペックを列挙します。

  1. メモリは最低32GB、できれば64GB以上
  2. CPUは多コアのもの
  3. 12GB以上のVRAMを搭載した外部GPU
  4. ストレージは高速なM.2 SSDで1TB以上
  5. ディスプレイの改造度はWQHD程度

すべて最新のもので揃えられるのが理想かもしれませんが、価格が高くなってしまいますので当面快適に使えれば良いという条件で考えます。

メモリ容量は、最近のエンジニアリングの現場では、仮想環境をいくつも起動することが多いので、大きい方が良いです。Webプログラミングをするだけ、システムプログラミングをするだけ、マイコンのファームウェアを書くだけといった専門分野を限定するなら16GB程度のメモリでも十分でしょう。

メモリ容量同様に、仮想環境を多様するならCPUのコア数は多い方が良いです。また、例えばLinuxをスクラッチからビルドするなど、コンパイル作業の頻度が高い場合もコア数の多いCPUは有利です。

外部GPUは、CADなどの3Dグラフィックスを扱う上ではあった方が良いし、生成AIを使う場合には必須です。なくても動きますが、あるとないのとでは大きな違いがあります。パラメーター数の多い生成AIモデルの学習や推論は一般的な外部GPUでは役不足です。せいぜい20億パラメーター程度までが守備範囲で、それ以上の大きさのモデルをフルパラメーターチューニングしたり新規に開発するには、非常に高価なGPUが必要です。ですので、割り切って小さなモデルしか使わないことにします。

ストレージについては説明するまでのないと思いますので省略します。

ディスプレイについては、目が良い人なら大きくて高解像度のものが良いと思います。27インチの4Kディスプレイとか。あまり大きなディスプレイだと、首を左右に振らないと見えない領域があるので、個人的には24インチのWQHD程度が使いやすいと感じます。資料を見ながらプログラムコードや文書を書くことも多いので、サブモニターを追加すると良いでしょう。

これを書いている令和7年1月時点なら、CPUはRyzen 7 7700、GPUはNVIDIA RTX 4060ti 16GB、メモリはDDR5 32GB x 2、SSDはPcie gen4 1TB、電源は850w程度、マザーボードはミドルクラス(B650チップセット)という構成を選びます。モニターとキーボード・マウス込みで、だいたい20万円くらいのコースです。予算に余裕があればCPUをRyzen 9にGPUをRTX 4070 ti superにします。予算が厳しければ、GPUは一世代前のRTX 3060 12GBにしてメモリを16GB x 2とするか。

OSはUbuntuかLinux Mint、あるいはFedoraを選び、nvim、VSCodium、Docker、NodeJS、Rustなどの開発ツールをインストールするという感じです。文書生成AIと画像生成AIはコマンドラインからいつでも動かせるようにしておけば便利です。

将来を考える時には、様々な状況を想定します。少しずつ社会が変化するのか、急激な変化が起きるのか。エネルギー危機、食糧危機、物流危機、金融危機が訪れるのか。全体主義的な政府の統制が強まるのか弱まるのか。外国勢力の侵略があるのかないのか。「このまま変わらない」ということはありませんから、大小の変化があるのを前提とします。

現代の人間社会は、テクノロジー抜きでは語れませんし、文明の無いところで文化が発展することもありません。外部的な強制力が働かない限り、過去に戻ることはありません。

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