山梨県上野原市に工房ごと引っ越してモノづくり塾を始めてから、地方創生ということを何度も何度も考えています。
状況が変われば考えも変わるので、このテーマについては今後も考えて意見を出して行こうと思っています。
現時点で、上野原市の地方創生は「それができる状況にない」というのが率直な感想です。
このブログでは何度か書いていることですが、今の状況をまとめると、
- 職と食が減れば人も減る
- 観光やグルメでは人が育たないので人が減る
- 問題は人口ではなく人材
- 地域の人が本気で創生しようとしない(変わりたくない)
と考えます。
例えば、上野原市には高校や大学がありますが、学生のバイトがとても少ないと聞きます。学生はバイトをするのに八王子などの近隣の町に行ってしまいます。
例えば、駅のロータリーに観光協会の幟がはためいていますが、幟がボロボロで維持管理ができていない印象です。
例えば、グルメツアーのようなこと、芸能人を呼ぶイベントと人が来れば成功と言えるような催しばかりやる。
例えば、都会の第一線で疲れた人の吹き溜まりのような集団が形成されて「自分たちが楽しければいいんだ」という空気がまん延する。
移住者が新しい風を吹かせてくれることを期待する向きもあるかと思われますが、いつの間にか地元民と移住民が別々のグループを作るみたいなことが起きて、それぞれに「盛り上がればいいんだ」となりがち。地域おこしを唱えて移住してきた人たちは、パン屋やコーヒー屋を開いて生活の糧を稼ぐとか、どこに行っても似た光景を見ます。
人口減少の傾向は随分以前からはっきりしていたにも関わらず、今の状況になっていることを考えると、有効な対策ができていないという結論が出ていると思うのですが、それはつまるところ、対策を考えてきた人たちが間違っていたからではないかと思うのです。「私達の考え方が間違っていた」と反省するのがスタートラインじゃないでしょうか。
そして役所の職員も地元の人も「できるだけ現状維持で」と考えがちです。責任回避の典型はコンサル会社にやらせるというやつ。予算さえ付けばコンサル会社に委託できるし「何かをやっている感」を醸し出せます。
最近、米国大統領選でディープステーツという言葉が頻出するようになりました。これは以前から言われていた既得権益層(軍産複合体、国際金融資本、マスメディア)などの総称ですが、日本に当てはめると、役人組織とマスメディアと反社ではないかと思うのですが、それに頼る人々もディープステーツの一部かもしれません。
如何にも悪い奴が集まっているディープステーツではなくて、善良な人々がディープステーツを形成している。これ、結構、厄介ではないですか?
国会議員、地方議員は選挙に落ちれば力を振るえませんが、役人組織は民意とは無関係に維持されます。米国のように政権が変わると官僚が入れ替わるということが置きない日本の場合は、より問題が深刻です。民主主義だと言うのなら、民選の議員や首長が大鉈を振るえるようにするのが正当ですよね。
例えば、首長が変わったら、課長職以上に退職勧奨を行い、一定期間の猶予を与えて、生産的な職業に転職してもらい、天下り企業には発注できない法律を作る、といったことが必要なのではないかと思います。何も生産しないで給料が貰える仕事は減らさないといけません。
生産的な職業が少ない地域は、生産的な仕事をする会社を興すことに資源を割くのが良いです。そのための教育支援、人材支援、資金支援をやっていく。それをしながら、役所の職員の給与を上げて人数を半減させる。人口が減るのがわかっているのだから、役所の職員も減らして当然です。ITリテラシーも非常に低いので改善すべき点でしょう。
我々大人たちは、次世代や次々世代が社会を継承して発展させられるように準備しないといけない筈です。これを共通の認識として、挑戦することを恐れない、変化を嫌がらないということが重要じゃないかと思います。
2年も集中して訓練すれば、ITの専門家、木工や金属加工の専門家、CADの専門家くらいにはなれます。そういう方には、モノづくり塾は喜んでお付き合いします。
静かなところでじっくりとモノづくりや研究に集中できる環境がある上野原市。もっとやれると思うんですよね。
モノづくり塾は人材育成や職の増加を志しています。如何せん力不足感は否めませんが、人材と職に焦点を当てて今後もやっていきます。新しいことに挑戦したい、副業の技術を身につけたい。そんなやる気のある方を歓迎します。
未来の仕込みをみんなでやっていきましょう。