トップ画像はAIで描いた過疎の地方都市の様子です。なかなかに寂しい画像を生成してくれています。
一つ前の投稿に書いたことに関連して、少し具体的に考えてみました。一つ前の投稿と合わせて読んでくださると嬉しいです。
政府も自治体も、そこに住む人々の感覚に合う施策をやりません。日本の官僚組織というのは、一種の特権階級で、民間企業のような競争に晒されることもなく、身分がある程度保証されており、実際の生産活動をよく知らない。組織を維持拡大させようとする力や各人の欲を無くすことはできないので、保身や汚職などがなくなることはありません。個々人については善良な方が多いのですが、これが役人組織という集団として思考すると様子が変わってきます。個人的にはこの特権階級の責任が一番大きいと思っていましたが、そもそも当てにならない政府や自治体を信用する我々の方にも問題があると思うようになりました。
具体的な問題点です。思いつく限りを列挙します。
- 農地や森林の放置
- 鳥獣被害
- メガソーラーなどの共有地の開発による環境・景観の破壊
- 公共交通機関の維持困難
- 水道などのインフラの整備困難
- 伝統文化の継承困難
- 高齢者の移動困難・買い物難民の発生
- 地域コミュニティーの崩壊や分裂
- 教育機会の不足、進学先の選択肢不足
- 就労機会の不足、職業の選択肢不足
- やる気がない、本気じゃない
モノづくり塾の近隣では、シカやイノシシに畑を荒らされる、クマの目撃情報や簡易水道の断水が頻繁に報告される、バスの便が1日数本、ちょっと大雨が降ると電車が止まる、地元民と移住者がそれぞれ別のコミュニティーを形成する、学生のバイト先がない、進学は都内に、就職も都内に。
これらの問題に対して、個人が対応できる部分と自治体や共同体が対応する部分に分けて、個人については、自治体に頼るのではなく、自力でやれるところをしっかりやることが大事です。
最近は高く売れるということで、外国人による電線(銅)の窃盗事件が報道されることがあります。
電話が普及しはじめて広範囲に電話線が敷設されると電線材料の枯渇が社会問題として挙がってきましたが、携帯電話への切り替えが進むとこの問題は消えます。社会問題が顕在化しそうになると、全体としてそれを解決しようとする動きが現れる傾向にあって、気がつくと社会が変わっていた、ということが起こります。そのときに重要な役割を追うのが技術とそれを支える人材です。公害問題も技術によって解決することが多いです。
大事なのは人材です。人口じゃなくて人材。
上記の問題の多くを、技術によって解決できないかを考えるの筋だと思いますが、検討グループの中に技術がわかる人材が少ないのです。意識は高いものの技術力は高くないという人が集まりがちなのも地方の弱点です。要するに人材難です。
問題解決に有効な人材の比率が都会と同じだったとして、人口が少なければ人材も少ないし、有効な人材の比率が都会より小さかったら、もっと人材は少なくなります。なので、人材の比率を上げる施策が必要です。
塾の近くにあるシュタイナー学園があって、現在の日本教育に不満のある方々が子供を通わせたくて移住してきます。話をいろいろ聞くと賛否があって、なんとも評価しずらいのですが、技術力高い系人材を引き寄せるシュタイナー学園のような存在があると良いのかな。
うちのような拠点の投資分だけでも、100世帯分の住民税くらいのお金は地域に落ちます。1万人規模の人寄せイベントと同じくらいのお金が落ちます。技術系人材の移住は地域にとっては良い結果を生むのではないかと思います。
食文化、祭り、方言、地名などの地域特有のものを残す。これらについてはなんとか今いる人たちが持ちこたえて欲しいです。うちがお手伝いできないことばかりなので、そう願うばかりです。
モノづくり塾は教育機会の提供、教育や就労の選択肢の増加を目標に本気で運営しているのですが、私塾にできることは知れています。ある程度元気な集団を形成できれば、コミュニティー崩壊問題の解決には多少効くかなとも思います。人の往来や活動が活発になれば、鳥獣被害や買い物難民問題の解決にも効くかもしれません。公共交通や農林業についてはハイテク化することで解決に向かうかもしれません。
地域のみなさんや役所の職員のみなさんも、生産的仕事に就いて、教育や就労の機会を増やす方向で活動する人材を目指してみませんか?