木と鉄は人間が扱うことのできる素材の中でも加工しやすいものの筆頭です。アルミやチタンなどの人気素材は溶接するのに高価な機械を必要としたり切断が難しかったり。鉄に比べるとアルミは強度や剛性に劣り、チタンは強度は高いものの剛性は劣ります。意外と鉄って材料としての性能が高いのです。
木は比弾性・比強度ともに高い素材です。比弾性・比強度というのは重さを揃えたときの破壊しにくさを比較するための指標ですが、これがなかなかのものなのです。
そういう材料特性の優劣はモノづくりにおいては意識されるものではありますが、資源量という視点も大事です。
日本の森林率は70%近く世界有数の木材資源国です。農業もそうなのですが、この活用すれば有効な資源の扱いで日本は失敗しました。日本の所謂田舎には持て余すほどの農地や山林がありますが、農業従事者や林業従事者の数は減る一方です。地域おこしするなら山林に関わる人を増やすのが先決ですし、人口減少傾向ならばそれを近代化や合理化と呼ばれるあらゆる手法を使って機能するようにするのが第一に取られる政策となるでしょう。
鉄はもっとも安定した元素です。核融合や核分裂の行き着くところが鉄だと言われています。その鉄を内部にたくさん持つのが地球という星です。我々の身体の中を流れる血液の赤血球にも鉄が含まれていますね。
モノづくり塾で扱うテーマには木と鉄を使うものが多いのも、木と鉄が加工性や入手性の良さという便利さと資源活用という意味での重要さからです。