合業のススメ

一つの機関が複数の分野に跨る業を一貫して行う。これが「合業」の定義です。

現代は専門化という分化が高度に進んだ社会です。業種によっては3Kと呼ばれるキケン、キタナイ、キツイ仕事になっていると思いますが、専門化されたままではその状況は変わらないでしょう。

モノづくり塾で学ぶテーマというのは、この合業をイメージするものが多いです。運営する他のメンバーにも最低3つの分野で専門家としてやって欲しいと伝えています。合業を狙っているからです。

林業をやっている方には、可搬式の製材機を持ち込み、山の中に簡易な作業所を建て、家具や日用品の生産までを一貫して行ってはどうかと提案したいです。林業、製材業、製造業の合業です。

農業をやっている方には、田畑で取れた作物を使って食品を製造して販売するところまで一貫してやってはどうかと提案したいです。農業、食品製造業、販売業、流通業の合業です。

製造業をやっている方には、それが大手ではなくても、部品屋さんから製品屋さんになって販売や流通にも力を入れてはどうかと提案したいです。

無いものは作ればいい。モノづくり塾ではそう考えます。なので様々な生産技能を身に付ける場として機能させたいのです。

人手不足の問題や異業種を統合管理する難しさはありますが、異業種の人が入ってくるのを嫌がるとか、これまでやってきたことを変えたくないとか、新しいことを学ぶのが億劫だとか、そういう精神的なものを払拭することを考えられないでしょうか。一人、一社でできないことは、できる人と協力するなどして解決に向かうのではないでしょうか。

いくつかの業種を統合すると、例えばこれまでなら林業は嫌だという人でも、その中の製材や建築などの部門で働けるならやってもいいかもしれないと思うかもしれません。

行政側も思い切って合業政策に予算を割いてはどうかと思います。

地域の維持発展はみんなが望んでいることのはずです。子供や孫がその地で暮らしていけることを望んでいるはずです。教育施設や職場がたくさん必要ですよね。

買い物や通院が大変で、人口が減少すれば買い物をする場所や医療機関も減るので、移動が困難な高齢者は便利な都会に集中して住むようになると思います。一方で活力あふれる若者は所謂田舎に集まるかもしれません。これを生産年齢を増やす機会だと捉えて、合業を進めて仕事を増やすという方向性を打ち出せないものかと考えています。

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