最近、各地で「婚活食事会」のような催しが盛んに行われています。特に地方都市では、若い女性の流出が顕著で、それが少子化や人口減少の一因と分析されています。例にもれず、モノづくり塾のある山梨県上野原市でも、同様の婚活イベントが開かれています。
現在、大学進学率は男女ともに約6割で、大きな差はありません。かつては女性の短大進学率が高かったのですが、最近では短大への進学率が下がり、4年制大学への進学が主流となっています。
個人的には、もし将来的に子どもを持ちたいと考えているなら、出産や育児を健康かつ無理なく行うためにも、なるべく若いうちに出産するのが望ましいと思います。出産時期から逆算して学業やキャリアの計画を立てることができれば、より良い選択ができるはずです。また、出産後も学業を無理なく継続できる体制づくりも重要です。
もちろん、医療の進歩によって高齢出産も可能にはなっていますが、育児は体力勝負でもあります。やはり、若いうちに出産と育児を行えるほうが、身体的・精神的な負担は軽いのではないでしょうか。
少し話がそれますが、「子どもを産まない権利」や「産まない自由」を主張する人もいます。ただ、その権利や自由を自分の親が行使していたら、自分は今ここに存在していません。そうした権利が行使されなかったからこそ、自分が生まれ、今こうしてその自由を語ることができるのです。
望まぬ妊娠や、病気などで出産が危険な場合もあるため、誰もが出産すべきだとは言いませんが、「産まない権利」を過度に声高に叫ぶことには、少し違和感を覚えます。
話を戻しましょう。
最近、上野原市で企画されている婚活イベントは、30代をターゲットにしているようです。
婚活ビジネスの関係者によれば、婚活市場(この「市場」という表現には抵抗があります)では、30代女性の「市場価値」(この言い方も好きではありません)が下がる傾向にあるといいます。出産を望む男性にとっては、年齢が上がることが不利に映るためだそうです。
こうした話は、ジェンダー運動の立場からは「けしからん」とされるかもしれません。しかし、生物的な性や本能に根ざした感覚・感情も、完全に無視することはできません。
30代女性をターゲットにする意図は分かりませんが、何らかの狙いがあるのでしょう。私は特に関心がないため、静かに見守っています。
それよりも私が重視したいのは、10代・20代の若い女性の流出を防ぐための施策です。
先述のように、今では約6割の女性が大学に進学しています。大学を卒業し、夢や希望を抱いて社会に出ようとする若者にとって、地方には魅力的な職場がほとんどありません。都会の大学に進学したら、たとえ地元が好きでも、戻る動機を見つけにくいのです。そのまま都会で就職し、結婚し、生活を築いていくケースが多いのです。
結果として、子どもが少なく、高齢者ばかりが残る地方になってしまいます。
多くの自治体は「予算がない」と言いがちですが、本当に切迫感を持っているのでしょうか。現実を理解しているはずなのに、行動に移せていないように感じます。
もし私が自治体を運営するなら、婚活イベントや福祉事業よりも、若年層の起業支援や高度技術企業の誘致、教育への大胆な投資を優先します。
モノづくり塾としてお手伝いできるとすれば、それは若者の起業支援です。ここでは、生産技術やものづくりに関する実践的な訓練ができます。
地元で起業して生活の基盤を築き、努力次第で未来の生活設計も可能になります。実家の近くで暮らせば、子育ての支援も得やすく、大学で学んだ知識や経験を仕事に活かすこともできます。大学では得られない実践的な技術は、モノづくり塾でとことん学べば良いのです。プロの指導者がしっかりと支えます。
そして、もう一つ重要なことは、大人たち自身も生産系・技術系の分野で積極的に起業するべきだということです。大人がまず挑戦し、その背中を若者に見せる。それが何よりの教育です。リモートでできる仕事も、静かで思い切り生産に打ち込める環境もあるんですよ。
挑戦することがリスクなのではなく、挑戦しないことこそが最大のリスクです。
何度もお伝えしていますが、モノづくり塾は補助金や助成金を受けず、行政の仕事も請け負わない、いわば「公金を受け取らない」方針で運営しています。売上はすべて設備の維持と投資に充てています。ボランティアと名乗れば偽善的に見える恐れもあるため、少額の月謝はいただいていますが、私たちの目的は金銭的な豊かさではありません。
うちに来てとは言いませんが、一緒に挑戦していきましょうよ。
余談ですが、私はこの上野原市の人口はこれからも減り続けると思います。人口が減っても市の面積が減るわけではないですから行政を小さくできないでしょうね。市の職員が少ない人数で東西南北走り回ることになるんでしょうか。あるいは上野原市が消滅するか。
日本全体でも人口は減ります。人口が減ると、モノを作る人が減る、モノが届かない、モノが盗まれるといったことが起きます。AI、ロボット、量子、自動運転といった技術を利用してなんとかやっていかないと、気がついたら外国人と外国資本だらけみたいなことになります。
地震に備えるのと同じくらいの感覚でそういう将来にも備えたいものです。