モノづくり塾初のFreeCAD勉強会を開きました。これは塾スタッフの要望でしたが、折角の機会なので塾生の参加を募って実現したのが今回の企画です。
ほぼ全員がはじめてのFreeCADだったので、午前9時半から昼食を挟んで午後4時まで、基本ばかりをひたすら練習するという内容にしました。参加者全員がFreeCADをインストールしたノートPCを持参してくれたので、全員が手を動かして学べました。

私はまだFreeCADを完全に使いこなしているわけではないため、今回は「講習会」ではなく「勉強会」として企画しました。私が教えられる内容には限りがありますが、日々のモノづくりに役立つ実践的で基礎的な知識と技術を、できる限り丁寧に共有していきたいと考えています。
最終的には、参加者同士が教え合い、学び合い、高め合える場になることを目指しています。私の役目が必要なくなるくらい、みなさんが自走できるようになることが理想です。
なぜ、3D CADを学ぶのか
3D CADの技術は、いまやあらゆるモノづくりの根幹にあります。
近年の製造業や個人の制作分野では、3DプリンタやCNC、レーザーカッターといったデジタルファブリケーション技術の普及が急速に進んでいます。これらの機器を使いこなすには、正確な3Dモデルを設計する技能が必須です。CADは機械やロボットに「どう動くか」を伝えるための言語とも言えます。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)やIoT化、リモート設計、スマートファクトリーといった潮流のなかで、設計情報をデジタルでやりとりできる力は、今後さらに重要になります。単に図面を引くだけではなく、「設計データを軸に人とつながり、モノをつくる」時代に入っているのです。
今後、CADを扱えないということは、「アイデアを形にできない」「チームに貢献できない」ということになりかねません。逆にいえば、CADを扱えることは、自分の知識や技能を社会につなぐ大きな武器になります。
学習環境について
CADはノートPCでも使えますが、画面サイズと解像度が作業効率を大きく左右します。 一般的なノートPCの15.6インチ・フルHDではやや窮屈に感じることもあるため、21インチ以上のWQHD(2560×1440)など、広い表示領域のあるモニターをおすすめします。
当塾では24インチ・WQHDモニターを標準にしています。
勉強会で見えてきたつまずきポイント
実際にやってみると、以下のような点でつまずくことがわかりました。
- 三次元空間をイメージするのが難しい
- モデルの階層構造(入れ子)の理解に戸惑う
- 今自分が何をしているのか見失う
- 意図した操作と結果のつながりが曖昧になる
これはCADに限らず、コンピューター一般に共通する難しさかもしれません。論理構造や操作の因果関係を正確に把握できないとき、「苦手」と感じるのは自然なことです。
また、三次元認識力には個人差もあり、習熟には時間がかかることを前提にしておくべきでしょう。ですので、「習うより慣れろ」という姿勢でやっていきます。
モノづくりの現場でも、CADは無視できない存在に
もちろん、アナログなモノづくり──木工や金属加工、土木建築──では、CADなしでも仕事はできます。むしろ道具の扱いに長けた職人の方が、良い結果を出す場面も多いのが現実ですし、そういう職人を育てるというのは当塾が目指していることの一つです。
しかし、だからといってCADを軽視すべきではありません。CADは「考えを可視化し、共有し、精度の高いものづくりを実現するための道具」です。たとえ手作業が中心であっても、設計意図を明確に伝え、チーム内で認識を一致させるには、CADを扱う力は非常に有効です。
デジタルとアナログの二刀流。これが当塾の理想です。
CADは「考えるための道具」でもある
3D CADは、ただ図面を引くだけのソフトではありません。
頭の中にあるアイデアを、他者と共有可能な「構造化された形」に変換するための、思考のツールでもあります。
技術の未来がCADベースに進んでいく中で、それを使いこなせるかどうかは、自分の表現力そのものに関わる問題です。
モノをつくる人にとって、CADは避けて通れない道です。だからこそ、じっくりと向き合って学んでほしい──それが私の願いです。
それと同時に「CADをマスターして良かった」と思える体験ができるように塾の設備を拡張させるが自分の使命だと感じます。今の所、CADを使ったモノづくりをする設備は3Dプリンターとレーザー彫刻機しかありませんが、自作する予定のCNCルーターなど、設備を拡張しCADを使う機会を増やさなければなりません。
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