年齢も性別も学歴も経験も家庭環境も何もかもが違うのが人間です。競い合う仲間がいて互いに切磋琢磨するのもの良いのですが、まったく歯が立たない相手と競い合うのは無理です。
1つ目は、競う相手は過去の日本人。
過去の日本人を知らないといけないので多少歴史的な勉強が必要ですが、過去からの積み上げで今がある、我々は先人の努力の上に生きている実感は必要ですし、幸いなことに先人の知恵や技術を身を持って継承している人もいれば、文書や記憶として残っていますから、我々はその上で新たな一歩を踏み出せば良いのです。温故知新ですね。
建築の分野では、過去には大工の棟梁が家主の人生や景観を考えながら家を設計して建てましたが、現代では建築士が設計し工務店が施工します。ハウスメーカーが企画した商品(○○ハウス)を大量生産方式で作って販売する際に景観は無視されます。
上野原市鶴島のモノづくり塾は風致地区と呼ばれている区域の中にあります。昔天皇陛下が列車の車窓から見えるこの地域の「家並みが美しい」とおっしゃったのが発端で風致地区と定められたと聞きました。当時は大工の棟梁が建てた家が立ち並んだ景色だったので、景観にも配慮された家並みだったのでしょう。
このような例は、他の分野にもたくさんあるでしょう。
昔の人はこうしていたのだから自分にもできる筈だ。昔の人のやったことをもって発展させてやろう。そう思ってモノづくりを学んで欲しいと思います。
2つ目は、競う相手は過去の自分。
モノづくり塾では塾生それぞれが「昨日の自分より今日の自分は少し進歩した」という体験を積み上げて欲しいと思っています。ほんの少しの進歩でも続けていれば大きな力になります。興味を持ったこと、やってみたいことをじっくり長くやり続けて欲しいです。