ZIKUUの「二刀流」という考え方

これまでもモノづくり塾では、木工をやる人にCADの学習をすすめたり、AIの使い方を研究したりしてきました。これはAI時代、少子化や人口減少時代を見据えてやっていることです。今後、この考えを進めながら実践しなければならないと考えています。

私自身がプログラマーであり、ギター製作者やロードバイク製作者であり、建築や溶接もやるようになったという経緯を持っているので、その経験が反映されているわけです。当然、日々の塾活動においてもこの考えは反映されます。

二刀流の例

以下に二刀流の例を挙げます。

デジタル × アナログの二刀流

  • 家を建てられるプログラマー(設計図をコードで管理する建築プログラマー)
  • ロボットを作れる農家(農業用自動化システムも自作できる農家)
  • AIを操れる土木作業員(現場の測量をAIで自動化する作業員)
  • 溶接できるデータサイエンティスト(金属加工も熟練している)
  • 木工できるWebデザイナー(家具を自分で作れるUIデザイナー)
  • 回路設計できる料理人(厨房設備を自分でIoT化する料理人)
  • プログラムを書ける大工(CNCや3Dプリンタを駆使して木材加工)
  • 製図できる農業従事者(CADで温室を設計し自分で建てる)
  • サーバー構築できる陶芸家(作品販売サイトも自分で運営)
  • AIモデルをチューニングできる溶接工(現場の作業効率改善にも応用)

ホワイトカラー × ブルーカラーの二刀流

  • 経営がわかる溶接職人(自ら工房を経営)
  • コミュニティ運営ができる左官職人(イベント企画とSNS発信)
  • プロジェクトマネジメントができる漁師(データを使って漁獲管理)
  • 知財戦略を立てられる木工職人(作品を国際的に守る)
  • 法務知識を持つ電気工事士(契約や規制にも強い)
  • 論文を書ける自動車整備士(新しい修理手法を学術的に発表)

異文化融合型の二刀流

  • 日本刀を打てるエンジニア(伝統工芸と先端加工の融合)
  • 茶道を嗜むロボティクス研究者(和の精神と科学の統合)
  • 農業とメタバースを掛け合わせる農村起業家(「バーチャル田んぼ」)

なぜ二刀流なのか

二刀流を目指す動機や意味について述べます。

1. AIが得意な領域と不得意な領域

  • 得意分野
    記憶、検索、最適化、パターン認識、コード生成、翻訳など「形式化できるタスク」
  • 不得意分野
    現場の臨機応変な判断、身体を使った精密作業、社会的・文化的背景に根ざした創造、倫理的判断

AIが強いのは「知の片翼」。もう片方の「身体性・現場性」は人間に残る。
つまり、この両方を行き来できる人材=二刀流が最も有利になる。

2. ホワイトカラー単体はAIに飲み込まれる

  • 事務、設計、翻訳、プログラミングなど デスクワークのみ に依存すると、AIに代替されるリスクが高い。
  • すでに「GitHub Copilot」や「Claude」のようなツールで、コード生成や資料作成の多くは自動化されつつある。

頭脳労働一本槍はリスク大
実体験と結びつかない知識はAIと競合しやすい。

3. ブルーカラー単体もAI+ロボティクスに浸食される

  • 製造ライン、物流、建設現場でもロボティクス+AIで自動化が進行中。
    例:無人フォークリフト、自動溶接アーム、自動運転重機。
  • ルーティン的・反復的な肉体労働は、テクノロジー導入の最初のターゲットになる。

身体労働一本槍もリスク大
AIロボットは「休まない・速い・正確」という強みを持つ。

4. 二刀流人材はAIを「道具」として使い倒せる

  • 例1: 農家 × ロボティクス
    → 自分で農業ロボットを改造・制御できる農家は、AIで収量予測+現場で即改善が可能。
  • 例2: 大工 × プログラマー
    → 木工の知識をCADやCAMに反映し、自動加工+手仕事の仕上げができる。
  • 例3: 土木作業員 × AIエンジニア
    → 測量・設計をAIで効率化しつつ、現場で即応できる。

AIを「競合」ではなく「相棒」にできるのが二刀流人材。

5. イノベーションは境界で生まれる

  • 歴史的に新しい価値は、既存の専門分野の「境界領域」で生まれてきた。
    例:生物学 × 情報科学 → バイオインフォマティクス
       物理学 × 金融 → クオンツ取引
  • 二刀流人材は「境界人」として、AI時代の新しい仕事を創り出せる。

二刀流は「代替されない価値」を生むポジション。

6. 教育・労働市場のシフト

  • 一般的な教育は「専門一刀流」を前提にしてきた。
  • しかしAIがその専門を肩代わりできるようになった以上、教育の目標は「AIを使って現実を変える人材」に変わる。
  • その条件を満たすのが 「デジタル × アナログ」二刀流

モノづくり塾は、一人でも多くの人が、得に若者が、二刀流を目指せる場所でありたいと願っています。

教育機関にお勤めの方、未来ある若者を持つ方、このままではいけないと思っている方。是非、一緒に二刀流を目指しませんか?5年くらい頑張ってみましょうよ。

関連記事:

若者に読んで欲しい「2030年問題」のこと

若者の親世代に読んで欲しい「2030年問題」のこと

AI時代の失業問題

余談ですが、プロとアマの違いについて書いておきます。

プロはそれでお金を稼ぐ人のこと、のような理解が広まっているように思いますが、そうではありません。何かをやろうと思ったときに「やりたい」で終わるのがアマです。それを「やらなければならない」に変換できるのがプロです。アマは逃げ道が作れますが、プロは逃げ道を作りません。精神性がまったく違うのです。お金の問題ではありません。

「ZIKUUの「二刀流」という考え方」への1件のフィードバック

コメントする