連載「Z世代=未来をつくるみなさんへ」第6回〜倫理と誇り

技術や知識を身につけることは大切です。
けれど、それ以上に問われるのは「それをどう使うか」です。

どんなに優れた技術でも、使い方を間違えれば人を傷つけたり、社会を不安にしたりします。
だからこそ、技術者や働く人にとって必要なのは、倫理――つまり「人にとって正しいことかどうか」を考える姿勢です。

近年、インフルエンサーと呼ばれる人たちの発信が大きな影響力を持っています。
言葉巧みに人を引きつけ、真似をする人も少なくありません。
けれど中には、責任を取る覚悟を持たず、困れば逃げてしまうような人もいます。
そうした態度に振り回されてしまうと、自分の人生を預けることになりかねません。

だからこそ、見極める力が必要です。
ではどうすれば養えるのか。
ひとつは、その人の言葉だけでなく「行動」を見ることです。
もうひとつは、短期的な利益ではなく「長く続くか」を考えてみることです。
最後に、自分自身の感覚――「これは本当に正しいのか」と胸に問いかける習慣を持つことです。

私が若い頃から大切にしてきた言葉に、“Do the right thing”――「正しいことをしよう」があります。
「正しい」とは、単に技術的に正確であるという意味ではありません。
それを使う人、支えられる人にとっても正しいことか。
そこに責任を持ち、誇りを持てるか。
その視点を忘れてはいけません。

AIやテクノロジーが急速に広がる今だからこそ、便利さや利益だけで突き進むのではなく、責任ある選択が必要です。

Z世代のみなさんに伝えたいのは――正しいことを選び取る勇気を持ってほしい、ということです。
見極める力を磨き、自分の選択に誇りを持てるように行動してください。
その積み重ねが、未来を明るくする力になります。

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