高市早苗という政治家は、強い言葉と“わかりやすい保守”をまとって登場した。
しかし、その路線は総理就任で突然現れたのではない。
総務大臣時代から、すでに方向性は一貫していた。
そしてその方向性は、保守を名乗るにはあまりにも歪で、国家を強くするどころか、構造的に“弱体化させる”ものだった。
ここでは、高市政権を読み解くための視点を、「就任前 → 背後 → 実際の方向性 → 誤魔化し方 → 最後に読む人への提案」という流れで整理してみたい。
1. 総理就任前から見えていた方向性
高市の政治言語は強い。
「核武装の選択肢」「敵基地攻撃」「国防力の強化」
──これらは保守層の心をつかむ言葉だ。
しかし、実質的にやってきたことは次の通り。
- 日米の通信・サイバー基準への完全追随
- 国防文書の大転換を米軍との一体化に寄せる
- 外交・安全保障の判断根拠をワシントンの視点に置く
つまり、「自主防衛と言いながら、従属度を上げる」というねじれた方向性が早い段階から見えた。
これは自民党という水の味だ。
2. 現在、高市の背後にあるもの
高市を支えているのは、
単純な“保守層の熱”ではない。
- 対米協調を望む永田町の流れ
- 軍需と国防産業の再編
- 製薬を中心とした巨大な医療ロビーの意向
- 「自由主義 vs 権威主義」という米国発の物語
- 安全保障・通信・サイバー分野の外資依存構造
これらは高市個人の意思というより、「流れを読む政治家が乗るべき流れ」として存在している。
高市はその方向に逆らわない。
だからこそ“扱いやすい総理”として成立した。
3. 実際の方向性(表の言葉と裏の構造)
表向きはこうだ。
- 日本を守る
- 国防を強くする
- 自主独立
- 強いリーダーシップ
しかし、裏の構造は明確にこう動いている。
- 日米の軍事・情報・経済の一体化
- 医療・薬品・規制の方向性が製薬の意向に寄る
- 対中国・対ロシアの“緊張の物語”の強化
- 台湾有事を前提にした国民動員の準備
- 国内の監視と統制装置の強化
つまり、日本の主権が強くなるのではなく、“動員しやすい国家”に再設計されている。
これは、政治的には保守の顔をしながら、構造的には従属と緊張の側に立つという、二重構造でもある。
4. その方向性の「誤魔化し方」
では、なぜ多くの人がこの構造に気づかないのか。
高市政権(とその周辺)が使っている“誤魔化し方”は以下の通りだ。
① 強い言葉を使って“自主独立”のイメージを作る
実際には、自立ではなく“共同運用”と“依存の深化”。
② 敵を明確化し、緊張を利用する
「中国」「ロシア」というわかりやすい外敵を大声で取り上げる。
しかし、最大の依存先である米国への視線は意図的に外す。
③ 産業ロビーを“国家の利益”として包装する
医療・軍需・通信など、特定業界の意向を「安全保障」の名で包む。
④ 国内への締め付けを“有事対策”として正当化
監視・規制・統制が、いつのまにか日常に入り込む。
これらはすべて、政治家がよく使う“物語の手法”だ。
5. みんな騙されるな。足元を固めろ。
政治は、強い言葉や耳当たりの良いスローガンに乗せられると、
簡単に“誤った方向”に社会全体が引きずられる。
高市の方向性は、
国家の独立を強めるものではない。
国家を動員しやすくし、外に依存させる方向で動いている。
だから重要なのは、
誰を好き・嫌いで判断することではなく、
“構造そのものを見ること”だ。
そして国民ができるいちばん現実的な対策は、
外側の物語に巻き込まれず、自分の足元(生活・判断・情報の読み方)を固めること。
- 群衆心理に巻き込まれない
- 緊張煽りに付き合わない
- 自分で一次情報を見る
- 生活圏の安定を自分の手で確保する
- 誰が言っているかではなく、構造で判断する
国家が揺れるときに強いのは、
常に「静かに足元を固められる人」だ。
ここでよく考えて欲しい。
子どもたちには選択権がない。
大人たちが道を誤れば、子どもたちは道連れにされる。
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