以前、モックアップを開発した話を書きましたが、プロトタイプの開発を開始しました。
FruitChainが生まれる社会背景については、最新の論文に詳しく書いているので、そちらも参考にしてください。すでに評価経済という文脈で各所で議論されているテーマですが、ZIKUUでは、すでにコンセプトが明確になっているので、一歩先に実装に入ります。
このシステムは、簡単に言うと信頼と共同体への貢献の歴史が仮想通貨として積み上がる仕組みで、共同体が腐る要素を排除し、AIとブロックチェーンを効果的に使ったシステムです。
まだ、ボイラープレートを作っただけで見せられるものはありませんが、ざっくり解説します。
設計思想
- 人の共同体への貢献を Labor Coin(LC)として扱い、「どれだけ持っているか」ではなく「どう働いたか」を記録する
- LC の残高や取引額は当事者以外には公開されず、外部の人が比較・ランキング化できる要素を徹底的に排除
- モノやサービスの交換に伴う依頼、見積もりが提示された事実、取引成立、納品という一連の流れを、数値ではなく “関係の履歴(Chain)” として可視化。
- 満足度やフィードバックは当事者間だけが閲覧でき、第三者による評価序列が生まれない構造
- この履歴は改ざん困難な台帳に保存され、共同体の信頼を形成する「働きの物語」として長期的に蓄積
利用イメージ
例1 物の製作依頼
ある日、共同体の掲示板に「木の椅子が必要になりました」という RFP が投稿される。
職人のBさんは内容を読んで「引き受け可能」と返答し、Aさんと密かに見積もりをやり取りする。
LC値は当事者だけが知るが、依頼が成立したという事実は共同体にも記録される。
製作期間のあいだ、Bさんは丁寧に椅子を仕上げ、Aさんは完成後に受け取る。
AさんはBさんへ感謝のフィードバックを送り、それは二人だけが見られる。
共同体には「A ↔ B の間に新しい Chain が生まれた」という履歴だけが残る。
例2 サービス提供
Cさんの工具が故障し、掲示板に「工具の修理をお願いしたい」と投稿する。
Dさんは機械に詳しく、状態を見て引き受けると申し出て、当事者間で必要LCをやり取りする。
修理は1時間ほどで完了し、Cさんは本当に助かったという感想をDさんにだけ伝える。
共同体の履歴には「C → D に修理依頼があり、作業が完了した」という Chain だけが記録される。
数値評価も満足度も外には漏れず、純粋に人同士の“働きの物語”として刻まれる。
例3 コミュニティ維持作業
イベント前日、Eさんが「集会場の掃除と設営を手伝ってほしい」と RFP を投稿する。
FさんとGさんが「手が空いているので参加します」と反応し、3人だけで見積もり合意を行う。
当日はE・F・Gの3人が共同で準備を進め、ミッションを問題なく完了する。
作業後、EさんはFさん・Gさんへお礼のフィードバックを送り、その感想は当事者だけで共有される。
共同体には「E ↔ F」「E ↔ G」「F ↔ G」の3本の Chain が追加され、見えない場所で LC が流れ、見える場所では“つながり”だけが静かに育つ。
こういうことが、Amazonとヤフオクの中間みたいな共同体内Webサイトで行われ、共同体の物語として記録されます。
最初のv0.1では、コア機能の実装を行います。
- ログイン と マイページ
- 見積もり依頼や相談の投稿・閲覧
- 見積もり(当事者間のみ)
- Labor Coinの試算、発行、交換
- 取引成立
- 納品報告
- モノやサービスへの評価(当事者間のみ)
- Chain公開(ここにはLC値などのランキングや外部評価につながる情報は出さない)
LCの試算や人のマッチングにAIを使い、行為はすべてブロックチェーンに記録します。
コア機能の開発が終わったら、v0.2で、各機能の改善やUIの強化と、共同体間取引を可能にする分散台帳への対応をします。