ナイフシースの制作

これはモノづくり共同体でアウトドアナイフ制作体験教室を企画したときに準備した素材で作った見本です。

大方成形を終えて熱処理(焼入れ焼戻し)を済ませたブレード、ハンドルに使用する適当な木材、ボルトがこの制作の素材で、生徒はブレードの仕上げと研磨を行い、木材を切断・切削してハンドルを作って組み立てるという内容の企画でした。

ナイフを抜身で持ち歩くわけにもいかないので、モノづくり塾指導員の一人であるレザークラフト職人にシースを作ってもらいました。

水で湿らせた革をナイフを型として使って成形し中子(革を数枚接着したもの)を作ります。中子は刃で縫い糸が切れてしまわないように縫い目を保護する働きをします。

シースを接着して縫い穴を開けます。

しっかりと糸で縫い、コバを研磨して仕上げます。

逆さにしてもナイフが抜け落ちないようにナイフにフィットしたシースが出来上がりました。

午後に制作を頼んでその日のうちに完成するという比較的用意なレザークラフトです。これなら半日程度の指導で完結するレザークラフト講座が開けます。

モノづくり塾建屋のロフト部分にレザークラフトをやるための区域を設定して木や鉄の粉塵を回避して作業ができるようにします。

モノづくり塾は知見や視野を広げるために複数の分野にまたがったモノづくりを実践します。例えば、アウトドアナイフを作る(金属加工、熱処理)、ナイフシースを作る(レザークラフト)、キャンプ用薪ストーブを作る(金属加工、溶接)、食器を作る(木工旋盤、木工)、キャンピングカーを作る(木工、金属加工、FRP施工)などと、キャンプというテーマに沿って次々のモノづくりを実践することで知見と技能を広げます。

人口減少が避けられない=一人で多様な仕事ができないと困ることになる将来の日本人として、産業全般に目を向けられる人材を育てたいと思っているので、「これしかやれない」「これしかやらない」ということはできるだけ避けたいのです。特に若年期は何が得意か不得意か、何が本当に自分にとって面白いことなのかは未知数で多くの可能性があるので、いろいろと挑戦して欲しいと思っています。最終的に何を本業にしていくかを様々な挑戦の中で選んでいけば良いと思います。

課題によっては半日や一日程度の体験教室的なものでは時間が足りませんし一人で全部できない作業もあるので、何人かが一緒に作業しながら進めていくという形を取ることになります。そのための塾方式な訳です。各課題の始めの段階で、段取り、作業方法、考え方、コツなどを教え、ある程度技術と知識が身についた塾生が他の塾生に教えながら一緒に作り上げていくのが良いと思っています。将来、助け合って生きる仲間作りという側面もあります。

材料や部品については、自分用のものは自分持ち、塾のみんなで使うものは塾持ちという形を取ります。道具については、自分専用のものは各自が用意し、高価な機械は塾の設備を使用する形とします。なるべく学習にかかる費用負担を抑えるという考え方からこのような形を取ります。

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