最近は大工さんでも替え刃式鋸を使っていて鋸の目立てをしないと言います。
本職の人でも使えるほど替え刃式鋸には優れたものがあるので、目立てなどという面倒なことをしなくても良いという合理性があるのでしょう。
しかし人間の活動は合理性だけを求めて行うわけではありません。金額に変えられないものや目に見えないものに価値を感じることもあります。
私は鋸を目立てをしながら使っています。
なかなかヤスリで正確に刃を作っていく作業は難しいのですが、繰り返しやることでだんだんと正確な作業ができるようになります。
上手く目立てができると、堅い木をズンズン切り進んでくれます。鋸が切ってくれているように感じるほど、力を必要としなくなります。
こういうことの繰り返しで、道具が身体の一部になったような一体感を得られたと感じるようになる。これは目に見えない価値なのではないかと思います。