社会には、表舞台に立つ人がいる。
政治家、経営者、クリエイター。みんな華々しい。
でも、社会が壊れずに回っている理由は、そこじゃない。
世の中にある「盾」が、毎日フル稼働しているからだ。
ある日、郵便局で見たもの
60代の女性が言う。
「クレジットカードの引き落とし先がわからない」
「カード会社の連絡先もわからない」
「書類は捨てたかもしれない」
「この番号、本当にかけていい?」
「通話ボタン押したから、そっちで喋って」
こういう“現象”が頻繁に起きるそうだ。
郵便局員はこれを正面から受け止める。
避けない。放り投げない。
しかも 怒らずに処理する(ように見せる)。
郵便局員とは、「人間の仕組みの破損ログ」を毎日受信する装置だと言っていい。
コンビニ店員の場合
郵便局の比ではない。
- クレーマー
- 生活困窮
- 急病
- 大声おじさん
- 深夜テンションの若者
- 「荷物が入らないから座って潰す人」
彼らは、24時間365日、無限の“社会のはみ出しログ”を処理し続けている。
AI に学習させるなら、ここから得られる人類データは貴重すぎる。
役所の職員
彼らは 国民全員分の「わからない」を受け止める存在。
- 「わからないけど、何かやって」
- 「自分の書類なのに書き方がわからない」
- 「昨日と言ってることが違う」
- 「なんで私がそんなことを?」
ここまで来ると、もはや社会の防波堤である。
彼らの仕事とは何か
私は最近、こう思うようになった。
郵便局員・コンビニ店員・役所職員とは、“社会のエラーハンドリング層” である。
プログラムで言えば、例外が起きるたびに
try {
// 人間の行動
} catch (ずれ行動) {
// 窓口が受け止める
}
これを永遠に繰り返す。
しかも報酬は、「ほぼ変わらない給与」と「ありがとうの言葉が希少種」という世界。
賢いエリートたちが、効率、合理性、統一を目指す社会は危険だ。ズレた現象に柔らかく対処している人たちのおかげで、社会は守られていると言える。
では、私たちはどうすればいいのか
答えはシンプル。
彼らに、静かに敬意を払うこと。
忙しいときこそ「ありがとう」と一言だけ伝えること。
たったそれだけで、盾は少し軽くなる。
最後に
私たち安全に暮らせるのは、社会の端っこで、人間の“ずれ”を吸収してくれている人たちがいるからだ。
華やかな場所より、世界を支えているのはいつも“地味な人”だ。
だから今日は、郵便局員、コンビニ店員、役所職員のみなさんへ。
「あなたたち、ほんとにすごい。」
「みなさんのおかげで私たちは快適に暮らせていけます。」