生成AIを使ったブログ記事からマニュアルを作る試み

私のギター工房のブログの記事を読ませて、マニュアルのようなものを作るテストをしてみました。10回ほどAIとやり取りした途中のものです。間違っている部分もありますが、修正や校正を繰り返せば解消できそうです。

データの品質と最後の検査は人間の責任ですが、大規模言語モデル(LLM)の性能はすでにかなりのところまで来ているように思いますから、他のサービスとの連携や適切なデータの提供などの工夫をしてAIエージェント化すると、校正やレイアウトなどの執筆作業の後工程を任せられるようになりそうです。

短期的には、ローカルで高性能なLLMを運用し、データの準備、エージェント化、ワークフロー構築などの技術を磨けば、文章や画像を扱う仕事の大きな部分をコンピューター化できそうですね。興味がある方は是非いろいろ挑戦してみてください。

モノづくり塾でも、ノウハウが蓄積できたら実運用システムを作って検証し、それを公開できるようにしたいと思っています。

アコースティックギター製作手帖 2017–2022

TSUBAKI GUITARS の工房記録から編む、読み物としての製作マニュアル


はじめに — 小ぶりな一本から始まった

パーラーサイズの試作から、特注の変型モデルまで。ここに記すのは、2017年11月以降の工房ログを骨格に、工程順に並べ直した「作った人が書く」実践マニュアルです。単なる手順解説ではなく、判断の根拠や、現場で起きた迷いと修正も含めて記録しました。

小ぶりなボディ、短めの弦長、手道具中心の作業。これらは“軽やかに良く鳴る”を狙った設計思想の核でした。


1. 設計と寸法 — 弦長・プロポーション・狙う鳴り

短い弦長(例:628–635mm)の設計は、弦の張力とトップの応答性のバランスを再設計するところから始まります。弦長が短ければ弦の振動エネルギーは相対的に小さくなるため、トップ/ブレーシング/ブリッジ質量の合計を軽く、かつ剛性は落とし過ぎない領域に合わせこむ。ブリッジ位置とサウンドホール径は、Xブレーシングの交点の位置決めと同時に決めておくと、後工程の迷いが減ります。

「小ぶりなボディなのでネックは細めに…弦長は628ミリ。」

ポイント:

  • 設計で“軽さの配分表”を作る(トップ厚・ブレーシング断面・ブリッジ厚/幅)。
  • 弦長の違いはブレーシングの曲率と高さで吸収する前提で、トップは“薄くしすぎない”。

2. 木取りとトップ厚み — 2.5mmに寄せて、あとで微調整

表板(スプルース等)は全体2.5mm前後を基準に、ロゼッタ/サウンドホール加工後に“ほんの少しだけ”再調整します。最初に片面の逆目を止め、反対面に移る。厚み測定は自作シックネスキャリパーでこまめに。

「厚みは全体的に2.5ミリに揃えてから…微調整。」

実践メモ:

  • 仕上がりを意識して鉋で追い込む。ペーパーは最後の均しに限定。
  • サウンドホール位置とブリッジ位置を軽く墨入れしておくと、後の治具合わせが速い。

写真キャプション(挿入用)


3. 側板の曲げとライニング — 形を“覚えさせる”

ローズウッドなど曲げやすい材は、ベンディングアイロンで少しずつ。型に当てて一日置き“形を記憶”させるのがコツ。次にカーフドライニング(糊代)を作り、表側→裏側の順で接着。

「写真右下に…ベンディングアイロン。型に入れてクランプで軽く押さえ…1日。」

「表側を接着してから数時間待って…裏側を接着。」

道具と工夫:

  • 目盛り板の上で材をずらしながら、鋸で均等ピッチの切れ目。
  • 木製洗濯バサミ+輪ゴムは“軽圧クランプ”。必要数を揃えると時短。

写真キャプション(挿入用)


4. ロゼッタとサウンドホール — 円カッターで丁寧に

引用(2020年3月29日「特注アコースティックギター〜サウンドホール開けとロゼッタの埋め込み」より)

円カッターを使ってロゼッタとサウンドホールの切り込みを入れます。ミニルーターを使った方が楽かなと思いながらも、円カッターと彫刻刀でやってしまいます。

切り込みの間を彫刻刀でさらってロゼッタを埋め込む溝を完成させます。

ロゼッタに使用するのはアバロン貝のロゼッタ用に切ってあるものと木の細い棒です。

接着剤を薄めて貝と木の間に浸透させて接着しているので、接着剤が乾くまでの時間が余計に必要ですぐにやれません。

図版(概略)

図A:ロゼッタ溝の断面イメージ

表板(Top) ───────────────────────
          ║  ← ロゼッタ溝(壁は垂直/底フラット)
   ┌────╫────┐
   │ アバロン  │ 木棒 │  ← インレイ(貝+木)
   └────╫────┘
          ║  ← 薄めた接着剤を浸透させる
────────┴───────────────  ← 裏面

キャプション:溝幅はロゼッタ幅より“気持ち狭く”。接着は薄めて浸透重視、仕上げにサウンドホール縁の丸め。

円カッターと彫刻刀でロゼッタ溝を切り、アバロン+木棒で埋め込み。接着は薄めた接着剤を浸透させてから表面を整える。

「円カッターと彫刻刀でやってしまいます…貝と木の棒を接着。」

ポイント:

  • ミニルーターより静かで制御しやすいが、刃の切れ味が命
  • 乾燥時間を“多めに見積る”。急がない。

写真キャプション(挿入用)


5. ブレーシング — 曲率と質量のさじ加減

引用(2020年3月29日「裏板にブレーシングを貼る」ほか)

ブレーシングは3本。フルサイズのアコースティックギターの場合は4本にすることもあります。

鉋で接着面を湾曲した形に仕上げています。以前はこの湾曲の形状をした治具を使っていましたが、最近は差金を湾曲させて弧を描き鉋で削っています。

(表板)小さめのボディで弦長も短めのギターなので、振動面を増やすためにブリッジ下の部分を広く取っています。

(表板)ほんの少しだけ表側が膨らんだ形にするので、ブレーシングの端に向かって緩く湾曲…薄い木片はその湾曲を得るためのスペーサーです。

一応この作業はこれで完了ですが、後日、もう一度タッピングして響きを確認してから、必要ならもう少し削ります。

図版(概略)

図B:Xブレーシング平面図(簡略)

      サウンドホール
          ○
         / \
        /   \   ← X主材(交差角 約90°前後は設計次第)
-------/-----\----------------  ← ブリッジ位置
      /  ┌─┐ \
     /   │□│  \  ← □=ブリッジプレート
    /    └─┘   \
   ╱  ╲         ╱  ╲  ← トーンバー/フェイスブレース(例)

キャプション:ブリッジ下は広い振動面を確保しつつ、端部へ緩いクラウン(湾曲)。スペーサーで反りを再現し、後日タッピングで再調整。

裏板は3本(フルサイズなら4本)を緩い曲面に合わせて接着。以前は曲面ベッドを使ったが、差し金を湾曲させて曲率の指標にするやり方は曲率変更が楽

「ブレーシングは3本。…差金を湾曲させて…鉋で削っています。」

トップはXブレーシング。ブリッジ下は広めの振動面を確保し、端に向けて緩く湾曲させる。湾曲は薄片スペーサーで再現。

「小さめのボディ…ブリッジ下の部分を広く…端に向かって緩く湾曲。」

接着はゴーバーデッキが合理的。バーには使用しなくなった竹刀を再利用。

「作業机の下をゴーバーデッキとして…バーは使用しなくなった竹刀。」

写真キャプション(挿入用)


6. 側板の補強とアームレスト — “軽くてシャキッ”のバランス

カーリーメープルの側は歪みが出やすい。内側に縦方向の補強棒を要所に接着して“面を立てる”。同時にアームレストも接着する工程設計にすると、側板の幅決め→ライニング→補強→干渉部の切り欠きまでが一気通貫になる。

「側面がシャキッとするように高さのある直棒を接着…次の工程では側板に表板を接着。」

写真キャプション(挿入用)


7. バインディング&パーフリング — 手道具で溝を刻む

引用(2017年12月20日・22日、2020年4月2日より)

(2017/12/20)バインディングとパーフリングを貼り付ける部分の溝掘りです。自作のパーフリングカッター、鑿、ヤスリを使います。エンド部にはエボニーの薄板を埋め込みました。

(2017/12/22)接着面をヤスリで綺麗にならしてバインディングとパーフリングの接着をしました。接着は水で少し薄めたタイトボンドを使いました。木製のバインディングは事前にボディの形に合わせて曲げておきます。パーフリングは赤白青にするつもりでしたが、白赤黒にしました。マスキングテープは軽く固定するだけにして、ゴム紐で圧着。ゴム紐はパンクしたロードバイク用のチューブを割いたものです。

(2020/4/2)3ミリ厚ほどのローズウッド材を鉋で1.8ミリほどに削って短冊切り…余分に作ったので木目の面白い部分を上手く組み合わせて使おうと思います。

図版(概略)

図C:バインディング/パーフリングの断面(表側)

   表板  ────────┐
                   │  ← 角を落として面取り
(パーフリング)  ┌─┬─┐ │  ← 白/赤/黒 など(例)
(バインディング)│██│  │ │  ← 木製バインディング
            └─┴──┘ │
側板  ──────────┘
   ↑薄めTitebond浸透、ゴム紐で圧締

キャプション:溝は手道具で直線・直角を出す。エンド部は薄板インレイで意匠を締める。木製材は事前ベンディング。

自作パーフリングカッターと鑿/ヤスリでチャネルを手で掘る。エンド部には薄板(例:エボニー)を挿入して意匠を締める。接着は薄めたタイトボンド。圧締はマスキング+**ゴム紐(自転車チューブ再利用)**が便利。

「バインディングとパーフリングを貼り付ける部分の溝掘り。」 「薄めたタイトボンド…ゴム紐で圧着。」

木製バインディングは事前に曲げておく。カッタウェイ個体では材の“歩留まり”も意匠の一部。余分に作って木目の面白い部分を選ぶ余地を確保。

写真キャプション(挿入用)


8. ネックジョイント — スカーフとVを使い分ける

引用(2018年12月23日「ギター製作仲間と…その9」より)

Vジョイントはスカーフジョイントに比べると難易度が高く、失敗する余裕のない加工です。墨入れのやり方、使用する鋸の選択や鋸の扱いなどの注意点を確認しながら、一方をやって見せて、もう一方を自分でやってみるという方法で理解してもらいます。

スカーフは接着面が広く強度/作業性のバランスが良い。Vジョイントは難度が上がる分、墨入れと鋸の選択/角度管理が勝負。片方を“見せて”、もう片方を“やってもらう”指導法は自習にも有効。

「今回はVジョイント…墨入れのやり方、使用する鋸の選択…注意点を確認。」

写真キャプション(挿入用)


9. ネック成形・指板・フレット — 直線を出してから速く正確に

引用(2018年6月21日「アコースティックギターにフレット打ち」より)

幅と高さ共にミディアムのフレットを使いました。フレットの浮きがないかを確認してから両端を処理。50度くらいの角度に斜めにヤスリで削ります。次に擦り合わせ処理をしてフレットの高さを揃えます。…フレットを打つ時点ではほぼ指板面の直線が出ているため、フレットが正確に打ち込みされれば擦り合わせの時間は短くなります。

小ぶりボディに合わせて細めのネックを設定。指板接着前後に直線を確認し、必要なら鉋とペーパーで再調整。フレットはミディアムを使用。打ち込み後、端面45–50°面取り→擦り合わせで高さ揃え→頭丸め。

「ネックは細め…弦長は628ミリ。」 「フレットの浮きを確認してから…50度くらいの角度に斜めにヤスリ。」

コツ:

  • プラハンマーの跳ね返りを抑える意識で“下に押すように”打つ。
  • 事前の“直線出し”で擦り合わせの時間を短縮

写真キャプション(挿入用)


10. ブリッジの製作と接着 — 位置・曲面・圧締手順

引用(2018年3月27日「アコースティックギターの塗装のやり直しとブリッジ作り」、2018年6月20日「ブリッジ接着」より)

(製作)やり易いうちに鉋でボディとの接着面を平らにします。サドルを入れる溝を彫るための切り込みを入れます…切り込みを入れたサドル溝を鑿で彫ります。

(接着)事前にボディ表面の膨らみに合わせてブリッジ裏を削っておきました。ブリッジを押さえている器具は自作のもの。膠接着の場合は急いで圧着する必要があるので、クランプがいくつもあると焦ります。この作業をするときは、ゴーバーデッキの方が作業性は良いかもしれません。

ブリッジ裏は表面の膨らみに合わせて削る。サドル溝は切り込み→鑿で仕上げ。接着は膠(にかわ)/Titebondいずれも、強圧は禁物。自作クランプ/ゴーバーデッキだと作業が落ち着く。

「事前にボディ表面の膨らみに合わせてブリッジ裏を削っておきました。」 (接着は強圧で歪みを生まず、位置決め優先の軽い圧締が基本。)

写真キャプション(挿入用)


11. 仕上げ塗装 — フレンチポリッシュを中心に

引用(2022年8月11日「アコースティックギター修復〜再塗装終盤」より)

深い艶を得るには塗装膜を厚くすれば良いので、納得できるまで塗り重ねます。あと2日くらい頑張ろうかな。

水性シーラーで下地を整え、フレンチポリッシュを基本とする。深い艶は塗膜を薄く重ねて作る。環境(温湿度)差や異素材の伸縮差での剥離を防ぐには、接着面の工作精度とゆっくりした工程が効く。

「この辺りからセラックの濃度を下げて擦り込むように塗り重ねます。」

写真キャプション(挿入用)


12. セットアップ — ナット/サドル/弦高の詰め

指板Rとフレット頂点の整列を確認後、ナット溝は開放でビビらない下限を狙い、サドルは12F弦高の目標値に合わせて追い込む。ピン穴/ブリッジプレートの面取り/弦の当たりの角度も音の立ち上がりに効く。

写真キャプション(挿入用)


13. 失敗と学び — 熱・湿気・“戻ろうとする力”

曲げ木は“戻ろうとする力”が常に働く。強引なクランプより、接着面の仕上げと温湿度変化の穏やかさが剥離対策。塗装でも、工程を急がない判断が最後に効いてくる。

「強引にクランプで圧着するようなことをせず…温度と湿度の変化が急激にならないように。」


付録A. 道具の手入れ — 小刀と鑿の研ぎ

主力の小刀は用途別に硬さと刃形を使い分ける。#1000→#2000(人造)→自作中砥→仕上げの天然砥石。バインディング溝用カッターは元は彫刻刀。裏板を傷付けないように刃の角を落として丸めるなど、加工対象に合わせた刃作りが前提。


付録B. 治具と現場工夫

  • 円カッターの“芯”確認治具(ロゼッタ用)
  • ゴーバーデッキ:机下&竹刀バーで省スペース
  • ゴム紐圧締:ロードバイクチューブ再利用
  • カーフドライニングの目盛り板

おわりに

工房の毎日の小さな判断の積み重ねが、一本の“性格”を作ります。本稿はその記録を章立てに並べ替えたものです。実物と向き合う方の助けになりますように。


索引(章参照)

あ行

  • アームレスト — 6章
  • アバロン(貝) — 4章
  • 油(タンポ用) — 11章

か行

  • カーフドライニング(ライニング) — 3章
  • クラウン(トップの緩い湾曲) — 5章
  • ゴーバーデッキ — 5章, 10章

さ行

  • サウンドホール — 4章
  • サドル溝 — 10章
  • 差し金(曲率確認) — 5章
  • シックネスキャリパー — 2章
  • セラック(フレンチポリッシュ) — 11章
  • 側板補強 — 6章
  • スカーフジョイント — 8章

た行

  • タッピング(響き確認) — 5章
  • 竹刀バー(ゴーバーデッキ) — 5章, 10章
  • タイトボンド — 7章

な行

  • ナット調整 — 12章

は行

  • パーフリング — 7章
  • バインディング — 7章
  • バインディング材 — 7章
  • ベンディングアイロン — 3章
  • ブレーシング — 5章
  • ブリッジ — 10章
  • 膠(にかわ) — 10章

ま行

  • 墨入れ(ロゼッタ/ジョイント) — 4章, 8章

ら行

  • ライニング — 3章
  • ロゼッタ — 4章

英字

  • Vジョイント — 8章
  • Xブレーシング — 5章

数字

  • 弦長(628mm 例) — 1章, 9章

※ 写真の実挿入時は、各キャプション行の[写真挿入:…]をファイル名/URLに置き換えます。キャプションは著者視点の“意図”を1行添える運用です。

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