はじめに
日頃から、何を考えてZIKUUという場を運営しているかをまとめておく。
ZIKUUは、会社でも、製品でも、サービスでも、組織でもない。
ZIKUUは 構造である。
まずはこれが基本。
人間は環境の中で生きる。
環境は常に変化する。
社会も、技術も、制度も、永遠ではない。
その中で長く生きるためには、固定された形ではなく
変化に耐える構造
が必要になる。
ZIKUUは、その構造を作る試みである。
文明の時間
多くのシステムは短い時間で設計される。
- 製品は数年
- 会社は数十年
- 技術は数十年
しかし文明はもっと長い時間で動く。
百年。
あるいはそれ以上。
もし文明の構造を扱うなら、時間のスケールもそれに合わせる必要がある。
ZIKUUは、短期的な成果を目的としたプロジェクトではなく、長い時間軸に耐える構造を設計する試みている。
仲介者
人はしばしば、自分の成果や所有物を中心に世界を考える。
しかし長い時間の中で見れば、人間は流れの中の一部分に過ぎない。
生物学的に見れば、人間は遺伝子の乗り物のような存在である。
遺伝子は個体を通して次の世代へと渡されていく。
文明も同じである。
知識、技術、文化は、人から人へと受け渡されながら続いていく。
人間は文明の所有者ではない。
人間は文明の仲介者である。
ZIKUUは、この立場から設計されている。
壊して作る
日本の伊勢神宮では、二十年ごとに社殿を建て替える式年遷宮が行われる。
建物は壊される。
しかし知の構造は続く。
建築技術、儀式、作法、意味は次の世代へと受け継がれる。
重要なのは建物ではなく知の構造である。
ZIKUUも同じ考え方で設計されている。
サーバーは変わる。
技術も変わる。
人も入れ替わる。
しかし構造が残る限り、システムは何度でも動き出す。
相似形
ZIKUUは 相似形 の構造を持つ。
自然界では、同じ構造が異なるスケールで繰り返される。
- 木の枝
- 神経
- 血管
- 河川
これらはフラクタル構造を持つ。
ZIKUUにはいくつかの形態がある。
- ZIKUU=現在、上野原で構築さえれているシステム
- ZIKUU Mini=ZIKUUの圧縮コピー
- ZIKUU Seed=可搬型ZIKUU Mini
これらは別のものではない。
構造は同じであり、単にスケールや形態が違うだけである。
この相似形の設計により、
- 小さく始めることができる
- 大きく拡張することができる
- 持ち運ぶこともできる
という柔軟性が生まれる。
場・人・設備・知
ZIKUUは四つの要素から構成される。
- 場
- 人
- 設備
- 知の構造
このうち
場、人、設備は変化する。
ZIKUUは
- 工房になることもある
- 工場になることもある
- 山小屋になることもある
- 学校になることもある
分野によって人も設備も変わる。
しかし知の構造は共通である。
この構造が、すべてのZIKUUを支える。
神経系
ZIKUUのシステムには神経系がある。
それが Nerve である。
構造は単純である。
Event
↓
Queue
↓
Event Handler
↓
Pipeline
すべての出来事はイベントとして扱われる。
イベントが投稿されると、それを処理する複数のハンドラーが動く。
この構造により、
- システムは疎結合になる
- 処理は自由に追加できる
- 構成は柔軟に変更できる
Nerveは軽量であり、
- ミニPC一台でも動く
- 複数のサーバーにも分散できる
小さくも、大きくも動く。
シンプル
ZIKUUの設計ではシンプルさを重視する。
複雑なシステムを作るのではなく、単純な要素を組み合わせる。
組み合わせで多様性を作り出す。
自然界の生命も同じである。
単純な要素が組み合わさり、複雑な生命が生まれる。
ZIKUUもまた、シンプルな構造の組み合わせで成り立つ。
やらないこと
構造の純度を保つためには、やらないことを決める必要がある。
例外が増えると、構造は濁る。
そのためZIKUUでは、
例外が増えそうな機能は捨てることもある。
何を作るかよりも、何を作らないかが重要になる。
大勢の人を集めることよりも、構造が歪まない人だけで活動する。
そのために、たとえ人が集まらなくても潰れない設計をしている。
抽象を守る
ZIKUUでは抽象を維持したまま実装することを重視する。
多くのシステムは、実装が進むにつれて例外が増え、最初の抽象が崩れてしまう。
ZIKUUでは抽象を骨格として維持し、具象は入れ替え可能なものとして扱う。
この設計によって、
- 分野を超えて使える
- 技術が変わっても生き残る
- 構造が壊れない
という強さが生まれる。
知行合一
知識と行動は分離できない。
知ることと行うことは、本来ひとつである。
ZIKUUでは
- 知識
- 技術
- 実践
が同じ場の中に存在する。
工房での作業も、システム設計も、知識の整理も、すべて同じ流れの中にある。
知は必ず体を通すようにしている。
ZIKUUは知行合一の場である。
生存戦略
ZIKUUは特定の用途のためのシステムではない。
それは生存戦略として設計されている。
環境が変われば、
- 場が変わる
- 人が変わる
- 設備が変わる
しかし知の構造が残っていれば、新しい形で再び動き出すことができる。
ZIKUUは生き続けるための構造である。
終わりに
人は、自分のためだけに自分を捧げることは難しい。
富や名誉や名声は、人生を丸ごと投じる理由にはなりにくい。
しかし自分を超えて続くものであれば、人はそこに人生を捧げることができる。
文明は、人から人へと受け渡されていく。
人はその流れの中の仲介者である。
ZIKUUは、その流れの中に置かれる構造である。