水車のロマン

少し前に、ロマンのクラウドファンディングという記事を書いた。
エネルギー密度、エネルギー収支、用途適合性を無視したプロジェクトに、人を巻き込む構造には、正直、恐ろしさすら感じる。物理も工学も経済も現実も無視した大人の行為は、子どもたちの教育上も好ましくない。
怖いものを見たい好奇心の旺盛な人は是非読んでみてください。

ここからは現実の話

エネルギー密度は、単位面積当たり、あるいは、単位重量当たりのエネルギー量を示す指標ですが、このような順で小さくなる。

1.原子力→2.火力→3.水力→4.太陽光→5.風力

1と5では1000倍くらいの差がある。
こういうのはざっくり理解しておけば十分。

自然エネルギーや再エネの文脈の中で出てくる、原子力=怖い、火力=枯渇といった不安と、エネルギー資源の少ない日本の生存という観点から、水力、太陽光、風力に向かおうという議論が出てくる。

エネルギー密度の小さな発電方式は、簡単に言ってしまえば、土地を食う

可住面積が小さく、平地の少ない日本にとっては、不利な発電方式だ。

水力に関しては、火力の次に使える可能性の高い発電方式だが、大規模なものは開発の余地がなく、日本の高密度な人口と産業を支えることはできない。だから、やるとしたら小水力発電ということになる。
フィンランドのようなわけにはいかないことは釘を刺しておく。

水力のこと

文明の最小単位を作る話の中には、村の電気を賄う水力発電設備が出てくる。

やるとしたら、村規模がギリギリかもしれない。

だから、いきなり全国的に広げるというような話にはならない。
そういう制約を理解しておく必要がある。

よくこういう話をする人たちは、みんなでやろうと集客しがちだが、制約をはっきり言わないのは不誠実だ。

ただし、日本の人口がこのまま減り、今の半分、1/3の人口になれば話は別。
そのときに、設備を作り維持できる人材がいるかが重要になってくる。

昔の工場は、川や湖のほとりに建てられ、水流によって水車を回して動力をとっていた。

回転運動→発電→蓄電という過程で、エネルギーの一部は熱として放出されて減衰する。だから、回転運動から直接動力をとるのが効率が良い。

多くの人が水力=発電を連想すると思うが、我々のような作る側の人間にとっては水力=動力だ。

どんなシステムになるか

旋盤やバンドソーのような、1000rpm〜1500rpmで回す機械なら、15rpm程度で回る水車から、2段階程度の変速で動かせる。

水車→メインシャフト→(変速x10)→天井のラインシャフト→(変速x10)→旋盤、バンドソーなど

そんな構造のシステムになる。

これは、低回転トルク型の機械に適している一方、丸鋸や鉋盤のような高速回転を必要とするものには向かない。ボール盤くらいなら使えるかもしれない。

直径4m程度の水車なら、水の落差次第で、5kw〜10kw程度の動力が得られ、丸太の製材ができる。
その時の落差は4m、水量350L/s程度か。
山中の川がある場所ならば、落差を得るのが容易なので、十分に現実的な設計ができる。

このくらいの水車ならば、ラインシャフトの末端にレギュレーターを取り付けて発電もできる。これを蓄電すれば、丸ノコ、インパクトドライバーなどの工具用バッテリーの充電や、夜の照明、情報機器・通信機器を動かすことができる。

そこにZIKUU Miniのような省電力型AIシステムを置けば、小さな村が現代的な研究所としても稼働することになる。これは、歴史上存在しなかった村だ。伝統と先進が同居する村だ。

立地が適切で、水路の設計が正しければ、水は流れ続けるから、安定した動力が得られる。
これが水力の魅力。
水のポテンシャルエネルギーが、大きなバッテリーのような役割をする。

水力発電で多くの電力を賄うフィンランドは、欧州のバッテリーと言われるほどだ。

冒頭のクラウドファンディングと違って、こちらは実現可能なロマンだ。

実力を持て

ZIKUUは、木工、金属加工、IT、AI、建築のすべてを対象分野として活動している。
設備も人も技術もある。
この3つが実力だ。
だから、水車を作ろうという話になったら、やってみようと言える。

あなたはその実力を持てるか?

我々が15年をかけて蓄積してきたこの実力を身につけたいと思うなら、ZIKUUに通って一緒に活動するのは悪くない選択だと思う。3年、5年と一緒にやっていけば、実力は身につくだろう。


みんなに知っておいて欲しい一般教養として、ZIKUUでは基礎教科書というものを作っている。ZIKUUの塾生なら全26巻の大人向け教科書を読むことができるが、それを選別した上で簡素化した中高生向け教科書をKindleで出版している。

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