PREは何をするのか ― Meaning Spaceを見る「直観と注意の器官」

原本確定、文脈抽出、意味空間投影という、Contextual Computingのコア実装が終わり、AIが動くための知識空間を構築できました。

Contextual Computingは、ZIKUUで考えた新しいコンピューター概念で、文脈を中心に据えて、その周りにデータ搬送、記録、推論などの部品を並べる考え方です。

PRE (Pivot Reasoning Engine) は意味空間(Meaning space)を探索するエンジンです。

人間は大量の情報をすべて精読してから異常や関係性に気づくわけではありません。

まず、

  • 似ている・似ていない
  • 整っている・歪んでいる
  • 増えている・減っている
  • 欠けている
  • 急に変わった
  • 同じ動きをしている
  • いつもある関係がなくなった

といった「形」を感じる。

その後で、「なぜこうなっているのか?」と詳しく調べる。

PREは、この「何かある」という感覚を機械側に作る装置として考えています。

そこでは

賢さより鋭さ

を大事にします。

一文で表現するなら、

PREは、Meaning Spaceの中から「何かある場所」を鋭く見つけ、見るべき断面だけを知性へ渡す装置である。


Pivot Serviceは、すでに意味空間の観測面を見る装置になっています。

Pivotが示す形は、

時間方向を見れば、

  • 急増・急減
  • 長期傾向
  • 周期
  • 周期の崩れ
  • temporal gap
  • 急激な変化
  • 変化点

Dimension方向を見れば、

  • 集中
  • 分散
  • 偏り
  • 構成比の変化
  • 特定Dimensionだけの異常

Fact間を見れば、

  • 同期
  • 逆方向の変化
  • 先行・遅行
  • 一定時間差を伴う追随
  • 通常存在する関係の消失
  • 異なるFact間に現れる類似した変化

が見えます。


PREには、いくつもの感覚器官を入れます。

今の段階では、その感覚器官をDetectorと呼ぶことにします。

DetectorはPivotを見て、違和感信号を発生します。

例えば、

  • Spike Detectorは「この期間に急増している」という信号
  • Distribution Shift Detectorは「同じ期間に構成比も変化している」という信号
  • Cross-Fact Sync Detectorは「別のFactも同時に動いている」という信号

を発生します。

PREは、これらの信号から、「何を見るか」を決めます。
これは「何を見ないか」も同時に決めることにもなります。

何を見るかが決まったら、そこからCPSの文脈束、Qdrantのベクターデータ、MinIOの画像、Giteaのアーカイブを必要に応じて掘りにいきます。

何を見るかを決めてやることで、LLMは大きなコンテクストウィンドウを使う必要がなくなり、LLMが読む意味が濃縮されます。


人間の直観も、

「原因はこれだ」

から始まるとは限らず、むしろ、

「何かあるぞ」

から始まることが多い。

PREも同様に、

  • いつもと違う
  • なんか変わった
  • 似てる
  • 欠けている
  • 集中している
  • 関連してそう

といった弱い信号を保持して、必要に応じて後段の調査につなげる。

PREは、

直観 → 注意 → 調査 → 推論

の最初の二段階を担うものと考えられる。

PRE、機械的な直観を作る装置と言えるかもしれません。


ZIKUUが作りたいのは、考えるだけの宙に浮いた知ではなくて、身体性と知性が結びついた地に足のついた知です。

人間の場合、

現実に触れる → 作る → 失敗する → 観察する → 考える → また試す

という循環によって知を形成します。

ZIKUUのシステムもこれに似た構造になっています。

システム的に記述すれば、

Event → Nerve → CPS / Context → Pivot → PRE → Contextへ戻る → LLM

で、普通の言葉にすると、

現実の出来事 → 神経回路 → 文脈束 → 意味空間 → 直観 → 文脈へ戻る → 推論

という構造です。

PREが見る対象は、世界から切り離された抽象知識だけではなく、

実際に起きた出来事から形成されたMeaning Space

です。

したがってPREの前面で動くAI塾長も、「世界について何でも知っているAI」を目指す必要はなくて、

  • ここで何が起きたかを知っている
  • 過去の出来事を辿れる
  • Contextへ戻れる
  • 実際の結果と照合できる
  • そこからパターンを見つけられる

という、現場につながった知性を目指すことになります。

そのためには、巨大なLLMを使う必要がありませんから、ZIKUU Miniのような小さな箱の中にも実装可能なのです。

この考え方、技術、ソフトウェアが人間の能力拡張に寄与するものと信じて進みます。

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