モノづくり塾「ZIKUU」だより – 令和8年7月
夏真っ盛りの7月。
工房は暑いですが、ZIKUUの取り組みも熱いです。
そんな7月にZIKUUで起きたことをお知らせします。
ZIKUUコアサービス
1年間の開発期間を経て、ついにZIKUUコアサービスが稼働を開始しました。
ZIKUUコアサービスは、
- LLM Broker(テキスト系LLMリクエストの中継)
- Vision Broker(Vision系LLMリクエストの中継)
- Light Auth(軽量な共通認証機能)
- Nerve(イベントとパイプライン管理)
- Context Pipeline Server(文脈抽出)
- Pivot Service(意味空間)
- Fact Builder(文脈を意味空間に投影)
- Repository Explorer(すべてのソフトウェアの調査・解説)
- Pivot Reasoning Engine(意味空間の断面を切り出して探索)
- Fact Build Tool(意味空間の再構成)
- Qdrant(ベクターデータベース)
- MinIO(画像・音声データベース)
- Gitea(原本固定)
- PostgreSQL(リレーショナルデータベース)
などから構成されるサーバー群のこと。
これらは、業種、分野、利用者の種類を問いません。
共同体内外で発生したデータを、原本確定し、そこから文脈を抽出し、さらに意味空間に投影するバックグラウンドサービスです。
共同体の、技術、知識、思考、判断、継承の機能を持ったシステムです。
別名「文明のバックアップ」です。
いずれ1台のミニPCで動くものとして、ZIKUU以外でも使えるようにしようと思っています。
AIとソフトウェア
LLM Broker
複数のLLM Runner を用途ごとに切り替えて使えるようにしたいと思い、LLM Brokerというサーバーの開発をしました。
それに伴い、CPS (Context Pipeline Server)、調査ボット、AIチャットボット、論文検索ボットなど、すべてのAIアプリケーションをLLM Brokerに対応させました。
Vision Broker
Vision系モデルへのアクセスを交通整理するVision Brokerを作り、Vision PlaygroundやVibe Playgroundから使用するようにしました。

Repository Explorer
ZIKUU内の主要なソフトウェアを調査・解説するためのアプリケーションです。
開発者がいなくなっても、ソフトウェアの維持管理、拡張をしやすくするための道具です。

CPSとFact Builderができてコアサービスが完成する
ZIKUUは工房という作業空間とコアサービスという知の空間の両方を持った共同体になりました。
コアサービスは、共同体の、知識、判断、文化、記憶、継承を支えるプラットフォームです。

モノづくり
スクリーン印刷
スタッフが取り組んでいます。
そのうちZIKUUのTシャツができるかもしれません。






ギター製作講座
米国の大学に通っている学生さんのためのマンツーマンのギター製作講座が終了しました。
そしてギター作りだけで終わらない、新たな挑戦も始まります。

エッセイ
週2本のペースで、思いついたこと、気になったことをエッセイという形で投稿しています。
人間社会を観察していると、ある深刻な問題が浮かび上がる。
それは、多くの人が“構造”というものを見ないまま大人になっているという事実だ。
彼らは目に見える現象だけを相手にして生きる。
ルールの理由も、仕組みの全体像も、因果関係の流れもつかまない。
目の前のことを押したり、叩いたり、叫んだりして何とかしようとする。
文化や文明を保存するというと、完成したものを大事に保管することだと考える人は多い。
しかし、それだけでは、人が何を考え、どう判断し、何をして何をしなかったか、まではわからない。
限られた資源を有効に使う——
この言葉は一見すると立派だが、実際には“見えるもの”にしか作用しない。
社員が少ない。
設備が足りない。
こういう資源は目に見える。
だから人は、どう使うべきかを考えられる。
しかし同じ言葉をゴミ問題に当てはめた瞬間、ほとんどの人は“止まる”。
資源が「どれくらい」限られているのか、そもそも「何が」資源なのか、
ほぼ誰も答えられない。
自分がいつ生まれたのか。
そんな当たり前に見える事実でさえ、私たちは自力で知ることができない。
誕生日とは、誰かに教えられて知るもの。
医師が記録し、親が語り、役所が管理し、社会が祝う。
私たちの最初の認識からして、自分の手で獲得したものではない。
私はこの当たり前の事実に気づいたとき、「自分の認識はほとんど他者から渡されたものだ」という感覚を強く持つようになった。
ZIKUUでは、ギターや家具、建物、ソフトウェア、コミュニティを設計する上で、この文明密度を強く意識している。
人口密度が低くても、
- 発電できる
- 水を維持できる
- 工作機械がある
- 多能工がいる
- AIが動いている
- 文脈が保存されている
- 教育できる
なら、文明密度は高い。
何かを欲しい、と思うことがある。
道具でも、仕組みでも、暮らし方でもいい。
多くの場合、その感情は自然に「買う」「使う」「真似る」という行動に変換される。
それはごく普通の流れだ。
ただ、私は塾生たちや仲間に、いつもこう言っている。
欲しいを作りたいに変えようと。
人間はミスをする。
これは倫理の問題ではなく、構造の問題である。
注意力には限界があり、疲労もあれば、判断を誤る瞬間もある。
社会は本来、その前提の上に成り立ってきた。
だからこそ、標識があり、信号があり、保険があり、再発防止の仕組みがある。
ところが、SNS上で消費される交通トラブルには、そうした前提が存在しない。
あるのは「切り取られた一瞬」と、それに群がる異様な正義感だけである。
偉人から学ぶなら、言葉でも、態度でも、物語でもない。
見るべきなのは、どこで判断したか。
何を捨てたか。
何を黙って続けたか。
自分は、何を淡々と続けるのか。
それ以外は、見なくていい。
日曜日の夕方になると憂鬱な気分になる。
朝に目が覚めると、身体に重さを感じながら起き上がる。
「仕事に行くのか……」という疑問が頭をよぎるが、結局はいつも同じ。
「洗面所、スーツ、電車」というルーティンは、無意識に同じ行動へと向かう。
このサイクルに潜むのは「無意識に従わせられる罠」だ。
それは、人間の本性と深くつながっている。
未来のこと
コアサービスが完成して文明バックアップの背骨ができたことで、未来が少し見えてきました。

ZIKUUは、
- 工房
- レーザー彫刻機、旋盤、フライス盤
- 木工機械
- 溶接機
- 各種手道具
- 技術者
- AIを使った文脈・意味空間の記憶
が揃いました。
各々は、これからも熟成・増強していきますが、技術、知識、思考、判断、継承の機能が備わった状態、つまり文明を継続・起動できる状態になったわけです。
これが最小限の文明バックアップ装置、文明バックアップの背骨です。
そうなると、次に見えてくるのが、足りない部分を埋めて機能を充実させた未来です。
ZIKUUは「作ってみよう、もっと知りたい」という姿勢を育てる場所です。
ZIKUUは、工房という物理空間でのモノづくり、ITやAIを使った論理空間の構築、教科書や実用書などの出版、社会、人間、テクノロジーの個人研究などを行う、ちょっと変わった場所です。
入口は、木工でもギターでも音楽でもITでも構いません。
毎日を面白く!
そうなるように運営しています。